住みやすい住宅って?長期優良住宅・ZEHと補助金について

「住みやすい住宅」とは、どのような住宅なのでしょうか。

「快適に暮らせる」「長く住み続けられる」「環境に配慮している」など、人それぞれに住みやすさの基準は異なるでしょう。


そんな中、国が定める住宅の性能基準として「長期優良住宅」と「ZEH」があります。

この2つの住宅は、住みやすさの観点からも、多くのメリットがあります。

また、国や自治体から補助金が受けられる場合もあり、お得に家づくりができるのも魅力です。

本記事では、長期優良住宅とZEHの定義やメリット、補助金について、わかりやすく解説します。


■長期優良住宅とは

家は、家族の生活の拠点です。だからこそ、家族みんなが快適に暮らせる家にしたいですよね。

そんな中、国が定める住宅の性能基準として「長期優良住宅」があります。

長期優良住宅とは、耐震性や耐久性、省エネ性、バリアフリー性など、さまざまな面で優れた性能を備えた住宅です。

では、長期優良住宅とは、具体的にどのような住宅なのでしょうか?


・長期優良住宅の定義

長期優良住宅とは、国土交通省が定める「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、耐震性、耐久性、省エネルギー性、バリアフリー性、居住環境の質、維持管理の容易さ、劣化の軽減、地域特性の配慮など、さまざまな面で優れた性能を備えた住宅です。


この法律では、長期優良住宅の認定基準を定めており、この基準を満たした住宅が「長期優良住宅」として認定されます。


・長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅の認定基準は、以下の8つの項目で構成されています。


・構造耐力

構造耐力は、地震や台風などの災害に耐えられる強度を備えていることを指します。長期優良住宅の認定基準では、耐震等級3以上の構造耐力を備えることが求められます。


・耐久性

耐久性は、長期にわたって使用できる耐久性を備えていることを指します。長期優良住宅の認定基準では、建物の構造部分の耐久年数を30年以上とすることが求められます。


・省エネルギー性

省エネルギー性は、光熱費を抑えることができる省エネ性能を備えていることを指します。長期優良住宅の認定基準では、一次エネルギー消費量を基準値よりも20%以上削減することを目標としています。


・居住環境の質

居住環境の質は、快適に暮らせる居住環境を備えていることを指します。長期優良住宅の認定基準では、日当たり、風通し、採光、音環境など、居住環境の質に関する基準が定められています。


・バリアフリー性

バリアフリー性は、身体の不自由な人も安心して暮らせるバリアフリー性を備えていることを指します。長期優良住宅の認定基準では、段差の解消、手すりの設置など、バリアフリーに関する基準が定められています。


・維持管理の容易さ

維持管理の容易さは、メンテナンスや修繕が容易に行える性能を備えていることを指します。長期優良住宅の認定基準では、メンテナンスや修繕に関する基準が定められています。


・劣化の軽減

劣化の軽減は、劣化を抑えることができる性能を備えていることを指します。長期優良住宅の認定基準では、劣化を抑えるための対策に関する基準が定められています。


・長期優良住宅のメリット

長期優良住宅には、以下の3つの大きなメリットがあります。


・安心して長く住み続けられる

長期優良住宅は、耐震性や耐久性などの性能基準を満たすため、安心して長く住み続けることができます。

特に、耐震性は、地震の被害から住まいを守る上で重要な性能です。長期優良住宅は、耐震等級3以上の性能を有しており、震度7程度の地震にも耐えられる設計となっています。

耐久性についても、長期優良住宅は、20年以上の耐久性を有しています。これは、一般的な住宅の耐久性である15年よりも長い期間です。


・省エネ効果で光熱費を節約できる

長期優良住宅は、省エネ性能も優れています。

特に、断熱性や気密性が高いため、冷暖房の効率が良く、光熱費を節約することができます。

また、太陽光発電システムを導入することで、さらに省エネ効果を高めることができます。


・災害に強いため、安心して暮らせる

長期優良住宅は、災害に強い構造を備えています。

特に、耐震性が高いため、地震の被害から住まいを守ることができます。

また、浸水被害に備えて、床下を高くするなどの対策も行われています。


長期優良住宅は、住まいの安全性や経済性、災害への備えを高めることができます。


・長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅の認定を受けるためには、認定基準を満たした住宅であることが条件となります。認定申請は、建築主が行い、国土交通大臣または都道府県知事などの認定機関が審査を行います。


認定を受けると、長期優良住宅の証明書が交付されます。この証明書は、住宅ローンの金利優遇や税制優遇などの適用を受けるための要件となります。


■ ZEHとは

ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)tとは、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロ以下となる住宅です。

一次エネルギーとは、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料や、太陽光や風力などの再生可能エネルギーから得られるエネルギーを指します。

ZEHは、太陽光発電などの再生可能エネルギーで、住宅で使用するエネルギーを賄うことを目指した住宅です。


・ZEHのメリット

ZEH(ゼロエネルギーハウス)のメリットは、大きく分けて以下の3つです。

光熱費の削減

災害に強い

資産価値の向上


光熱費の削減

ZEHは、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロ以下となる住宅です。一次エネルギーとは、石油や天然ガス、石炭などの化石燃料や、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを指します。


ZEHでは、断熱性能を高めて熱の損失を抑えるとともに、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入することで、光熱費を大幅に削減することができます。

国土交通省の調査によると、ZEHの光熱費は、一般的な住宅の約40%程度に抑えられるとされています。


災害に強い

ZEHは、断熱性能や耐震性能を高めることで、災害に強い住宅を実現することができます。

断熱性能を高めることで、災害時の熱中症やヒートショックのリスクを軽減することができます。また、耐震性能を高めることで、地震や台風などの災害に備えることができます。


資産価値の向上

ZEHは、省エネ性能や耐震性能などの優れた性能を備えているため、資産価値の向上が期待できます。


国土交通省の調査によると、ZEHの資産価値は、一般的な住宅よりも約5%程度高くなるとされています。

また、ZEHは、国や自治体から補助金が支給されるため、住宅の購入や維持費の負担を軽減することができます。


ZEHは、光熱費の削減や災害への備え、資産価値の向上など、さまざまなメリットがあります。住まいの快適性や安心性を高めたいと考えている方は、ZEHの検討をしてみてはいかがでしょうか。


・ZEHの基準

ZEHの基準は、以下の2つの要件を満たす必要があります。

・一次エネルギー消費量の削減

一次エネルギー消費量とは、住宅の建設や維持に必要なエネルギー量のことです。ZEHでは、この一次エネルギー消費量を基準値よりも20%以上削減する必要があります。


基準値は、地域や気候条件によって異なります。例えば、東京23区の基準値は、1戸当たり年間12.3kWh/m2です。


一次エネルギー消費量を削減するためには、以下の対策が有効です。

断熱性能の向上
省エネ設備の導入
自然エネルギーの活用


・再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力などの自然から得られるエネルギーです。ZEHでは、この再生可能エネルギーを導入して、住宅で使用するエネルギーを賄う必要があります。


再生可能エネルギーの導入には、以下の方法があります。

太陽光発電
風力発電
地熱発電
バイオマス発電


ZEHの基準を満たすためには、断熱性能の向上や省エネ設備の導入など、さまざまな対策が必要です。また、再生可能エネルギーの導入も欠かせません。


2023年4月から、ZEHの基準が強化されました。

新基準では、一次エネルギー消費量の削減量が25%以上に引き上げられました。また、再生可能エネルギーの導入量も、1戸当たり年間20kWh/m2以上に引き上げられました。

基準強化により、ZEHの実現はより困難になりさらなる省エネと環境負荷の軽減を目指す取り組みが必要なものになっております。


■ 長期優良住宅とZEHの共通点と違いについて

・長期優良住宅とZEHの共通点

長期優良住宅とZEHは、どちらも国が定める住宅の性能基準を満たす住宅です。そのため、以下のような共通点があります。

耐震性
耐久性
省エネ性
バリアフリー性
維持管理の容易さ


これらの共通点から、長期優良住宅とZEHは、以下のメリットがあります。

安心して長く住み続けることができる
省エネ効果で光熱費を節約できる
災害に強いため、安心して暮らせる

また、長期優良住宅とZEHのどちらも、国や自治体から補助金が支給される共通点があります。


・長期優良住宅とZEHの違い

長期優良住宅とZEHは、どちらも住みやすさの観点からも、多くのメリットがあります。

しかし、両者には、以下のような違いがあります。


一次エネルギー消費量の削減目標

長期優良住宅は、一次エネルギー消費量を基準値よりも20%以上削減することを目指す住宅です。一方、ZEHは、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロ以下となる住宅です。


省エネ性能

長期優良住宅は、省エネ性能を高めることで、一次エネルギー消費量を削減します。一方、ZEHは、断熱性能を高めて熱の損失を抑え、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入することで、一次エネルギー消費量をゼロに近づけます。


補助金

長期優良住宅とZEHのどちらも、国や自治体から補助金が支給されます。長期優良住宅の補助金は、住宅ローンの金利優遇や固定資産税の減額など、さまざまな種類があります。ZEHの補助金は、住宅の性能や規模によって金額が異なります。


■ 長期優良住宅・ZEHの補助金

長期優良住宅の補助金は、国や自治体から支給されるものになっておりそれぞれ特徴があります。


・長期優良住宅の補助金について

長期優良住宅の補助金の目的は、以下のとおりです。

長期優良住宅の普及を促進し、住環境の改善と資産価値の向上を図る
住宅の耐震性や省エネ性を高め、災害に強い住まいを実現する
住宅の購入や維持費の負担を軽減し、住みやすい住宅の実現を支援する
長期優良住宅の補助金の対象


長期優良住宅の補助金の対象となる住宅は、以下のとおりです。

・長期優良住宅の認定を受けた住宅
・住宅ローンの融資を受けた住宅
・固定資産税の申告を行う住宅


長期優良住宅の補助金の申請方法

長期優良住宅の補助金の申請方法は、自治体によって異なります。

各自治体のホームページなどで、申請方法を確認してください。


国からの長期優良住宅の補助金は、以下の種類があります。


住宅ローンの金利優遇

長期優良住宅を取得する場合、住宅ローンの金利が、0.2%~0.3%引き下げられます。


固定資産税の減額

長期優良住宅を取得する場合、固定資産税が、10年間にわたって、10%~20%減額されます。


税制優遇

長期優良住宅を取得する場合、所得税の控除や固定資産税の減額などの税制優遇を受けることができます。


自治体からの補助金

自治体からの長期優良住宅の補助金は、住宅の性能や規模によって金額が異なります。



・ZEHの補助金について

ZEHの補助金の目的は、以下のとおりです。

・ZEHの普及を促進し、地球温暖化対策に貢献する
・住宅の省エネ性を高め、光熱費の削減を図る
・住宅の購入や維持費の負担を軽減し、住みやすい住宅の実現を支援する


ZEHの補助金の対象となる住宅は、以下のとおりです。

・ZEH住宅の認定を受けた住宅
・住宅ローンの融資を受けた住宅
・固定資産税の申告を行う住宅


ZEHの補助金の申請方法

ZEHの補助金の申請方法は、自治体によって異なります。

各自治体のホームページなどで、申請方法を確認してください。


ZEHの補助金は、国や自治体から支給されるものです。

国からの補助金は、住宅ローンの金利優遇や固定資産税の減額、税制優遇などがあります。

自治体からの補助金は、住宅の性能や規模によって金額が異なります。


国からのZEHの補助金は、以下のとおりです。

住宅ローンの金利優遇

ZEH住宅を取得する場合、住宅ローンの金利が、0.2%~0.3%引き下げられます。


固定資産税の減額

ZEH住宅を取得する場合、固定資産税が、10年間にわたって、10%~20%減額されます。


税制優遇

ZEH住宅を取得する場合、所得税の控除や固定資産税の減額などの税制優遇を受けることができます。


自治体からの補助金

自治体からのZEHの補助金は、住宅の性能や規模によって金額が異なります。


ZEHの補助金を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。


ZEHの認定を受ける
住宅ローンの融資を受ける
固定資産税の申告を行う


補助金は、住宅の購入や維持費の負担を軽減するのに役立ちます。

ご自身に適した補助金を受けるためには、各自治体のホームページなどで情報を確認することをおすすめします。


■まとめ

長期優良住宅とZEHは、どちらも国が定める住宅の性能基準を満たす住宅です。

国や自治体から補助金が支給されるため、住宅の購入や維持費の負担を軽減することができます。


住みやすい住宅を実現するためには、ご自身のライフスタイルや予算に合わせて、長期優良住宅とZEHのどちらを選ぶかを検討することが大切です。

住みやすい住宅は、家族みんなが快適に暮らせる家です。

そのためには、住宅の性能基準を満たす住宅を選ぶことが大切です。長期優良住宅とZEHは、どちらも住みやすい住宅の条件を満たす住宅です。


ご自身のライフスタイルや予算に合わせて、どちらを選ぶかを検討してみてください。