映画やドラマで憧れた地下室。楽器演奏や映画鑑賞、趣味の部屋など、自分だけの特別な空間を思い浮かべませんか?注文住宅で地下室を作れば、そんな夢を実現できます。
しかし、地下室にはメリットだけでなくデメリットも存在します。建築コストや湿気対策、採光・通気など、考慮すべき点はたくさんあります。
この記事では、注文住宅で地下室を作るメリットとデメリットを徹底解剖し、つくる時のポイントや注意点について詳しく解説します。地下室のある暮らしを夢見るあなたに、後悔のない選択のための情報を提供します。
《目次》
・地下室の魅力とは?
・地下室のメリット徹底解剖
・地下室のデメリットとは?
・地下室の種類:用途に合わせた最適な選択
・ 地下室を作るための注意点
・まとめ
■地下室の魅力とは?
防音室は、「音に集中できる環境」「プライベートな空間」「多様な用途で使用出来る」など多くの魅了があります。
防音室は、外部からの音を遮断し、室内音を外部に漏らさない性能を持っています。そのため、周囲の環境に左右されることがなく、集中力を高める効果があります。
そのため、「創作活動」「芸術」など作業に没頭したいときや、「映画鑑賞」「音楽」等大音量で音を楽しみたい方にとって防音室のある家は魅力的なものです。
■地下室のメリット徹底解剖
地下室のメリットを5つのポイントから詳しく解説していきます。
・外気の影響を受けにくい快適空間
地下室は地盤に囲まれており、地上よりも温度変化や湿度変化の影響を受けにくいです。夏は涼しく冬は暖かい快適な空間を維持できます。
また、外部からの騒音も遮断するため、防音室としても活用できます。楽器演奏や映画鑑賞など、音に集中したい活動を思う存分楽しめます。
地下室は、地上とは異なる気候環境を持ち、一年を通して快適な空間を実現できます。夏は地熱の影響を受けにくいため、涼しく過ごせます。冬は地熱によって暖かく、暖房効率も向上します。
また、外部からの騒音を遮断するため、静かな環境で生活できます。
・高い防音・断熱性能でプライベート空間を演出
地下室は、周囲を土に囲まれているため、高い防音・断熱性能を備えています。
楽器演奏や映画鑑賞など、音漏れが気になる活動も安心して楽しめます。また、外気の影響を受けにくいため、冷暖房効率も向上します。
地下室は、高い防音・断熱性能によって、プライベート空間を演出できます。
楽器演奏や映画鑑賞など、音漏れが気になる活動も周囲を気にせず楽しめます。
・趣味や家族の時間を満喫できる多様な空間
地下室は、用途に合わせて様々な空間として活用できます。
防音室: 音楽演奏や映画鑑賞、楽器練習など、音漏れを気にせずに楽しめる空間として「趣味の部屋」「ホームシアター」「ゲストルーム」「収納スペース」などのように、地下室は自分のライフスタイルに合わせた様々な使い方を可能にする、自由度の高い空間です。
・容積率を最大1/3まで緩和
地下室は容積率の計算に影響を与えます。容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合を指します。
一般的に、地下室は延床面積に算入されないため、容積率を最大1/3まで緩和できます。つまり、地下室を設けることで、地上部分の建築面積を増加させることなく、広々とした空間を実現できます。
地下室は、容積率を最大1/3まで緩和できるため、土地を有効活用できます。
敷地面積が限られている場合でも、地下室を設けることで、広々とした空間を実現できます。また、容積率を緩和することで、建物のデザインの自由度も高まります。
・耐震性向上による安心感
地下室は、建物の重量を支える役割を果たし、耐震性を向上させる効果があります。地震は縦揺れだけでなく横揺れも発生するため、地下室は建物の安定性を高め、倒壊リスクを軽減します。
地震はいつ起こるかわかりません。地下室は、地震発生時のリスクを軽減し、家族の安全を守ります。また、地下室は、台風などの強風にも強い構造となっています。
■地下室のデメリットについて
地下室には様々なメリットがあります。しかし、同時に理解しておかなければならないデメリットも存在します。
・建築コストの増加
地下室は、地上部分よりも建築コストがかかります。坪単価は50~200万円程度と、地上部分の2~3倍になるケースも珍しくありません。
建築コスト増加の主な理由は以下の通りです。
掘削作業
防水・防湿対策
耐震性の確保
換気システム
照明設備
地下室は、建築コストが大幅に増加する可能性があります。
坪単価は50~200万円程度と、地上部分の2~3倍になるケースも珍しくありません。建築前に、予算をしっかり立て、資金計画を立てることが重要です。
・土地の条件
地下室を建設するには、土地の条件も重要です。
水はけが悪い土地は、地下室に水が浸入するリスクがあるので地盤沈下の可能性がある土地は、地下室に亀裂が生じる可能性があります。
事前に専門家に調査を依頼し、土地が地下室建設に適しているか確認する必要があります。
また、土地の条件によっては、地下室建設が難しい場合があります。
水はけや地盤沈下のリスクを事前に調査し、適切な対策を講じる必要があるため土地選びの段階から、地下室建設の可能性を考慮することが重要です。
・湿気対策:換気システムや防水対策の重要性
地下室は湿気が溜まりやすい環境です。湿気対策を怠ると、カビやダニが発生し、建物の劣化や健康被害に繋がる可能性がありますので、換気システムや防水対策をしっかりと行う必要があります。
そのため地下室は、湿気対策が重要になりますので、換気システムや防水対策を怠ると、カビやダニが発生し、建物の劣化や健康被害に繋がる可能性があります。
・法令遵守:建築基準法や消防法の確認
地下室を建設するには、建築基準法や消防法などの法令を遵守する必要があります。建築基準法では、地下室の床面積や高さ、換気設備などに関する規定があります。
また消防法では、地下室の避難設備などに関する規定があります。
法令を遵守していない地下室は、建築確認が下りず、使用することができません。地下室を建設する際には、法令遵守が重要です。
建築基準法や消防法などの法令を遵守していない地下室は、建築確認が下りず、使用することができません。
地下室は、魅力的な空間である一方で、建築コストや土地条件、湿気対策、採光・通気、法令遵守など、多くの課題も存在します。
■地下室の種類
地下室は、用途や予算に合わせて様々なタイプから選ぶことができます。ここでは、代表的な3つのタイプを詳しく解説します。
・全地下タイプ:広々とした空間を確保
全地下タイプは、地下に完全に埋もれた地下室です。地上部分からの採光・通気が難しいため、換気システムや照明設備の設置が必須です。
・全地下タイプのメリット
広々とした空間を確保できる
外気の影響を受けにくい
防音・断熱性能が高い
・全地下タイプのデメリット
建築コストが高い
採光・通気対策が必要
閉塞感を感じやすい
全地下タイプは、広々とした空間を確保したい方や、防音・断熱性能を重視する方に適しています。
・半地下タイプ:コストを抑え、採光・通気を確保
半地下タイプは、地上と地下の間に位置する地下室です。地上部分から光を取り込むことができるため、採光・通気対策が容易です。
・半地下タイプのメリット
建築コストを抑えられる
採光・通気対策が容易
閉塞感を感じにくい
・半地下タイプのデメリット
容積率に算入される
地下室部分が地上に露出するため、防水対策が必要
半地下タイプは、コストを抑え、採光・通気性を重視する方に適しています。
・地下ピットタイプ:限られたスペースにも設置可能
地下ピットタイプは、地面を掘り下げた穴に設置する地下室です。他のタイプに比べて規模は小さいですが、限られたスペースにも設置することができます。
・地下ピットタイプのメリット
建築コストが安い
限られたスペースにも設置できる
地上部分への影響が少ない
・地下ピットタイプのデメリット
空間が狭い
採光・通気対策が必要
用途が限られる
地下ピットタイプは、限られたスペースに防音室などを設置したい方や、コストを抑えたい方に適しています。
■地下室を作るためのポイント(建築基準法・その他法律編)
建築基準法のにある定めに基づいた条件を満たす必要があります。
ここでは地下室をつくる際の法律の注意点について紹介します。
・用途地域における制限:
用途地域によって、地下室の建築面積や延床面積に制限があります。
例えば、第一種低層住居専用地域では、地下室の延床面積は地上階の延床面積の1/2
以下と制限されています。
・高さ制限
地下室の天井は、地盤面から1.4m以上高くなければなりません。
ただし、換気設備や照明器具などの設置スペースを考慮する必要があります。
・換気設備
地下室には、換気扇などによる換気設備を設置する必要があります。
換気量は、地下室の床面積1㎡あたり30㎥/h以上とされています。
・採光、通気
地下室には、窓などによる採光・通気設備を設置する必要があります。
採光・通気面積は、地下室の床面積1㎡あたり1/10以上とされています。
ただし、全地下タイプの地下室では、機械換気による代替が可能です。
・構造
地下室は、周囲の土圧や水圧に耐えられる構造にする必要があります。
耐力壁や耐力床版などを設置する必要があります。
・防水、防湿
地下室は、地下水や湿気から守るために、防水・防湿対策が必要です。
防水シートや防湿シートなどを設置する必要があります。
■消防
・避難設備
避難口や避難階段など、火災発生時の避難設備を設置する必要があります。
避難口は、2ヶ所以上設置する必要があります。
避難階段は、幅1m以上、勾配30度以下とする必要があります。
・防火設備
地下室には、自動火災報知設備や消火設備を設置する必要があります。
自動火災報知設備は、火災発生時に感知して警報を発します。
消火設備は、初期消火に役立ちます。
■その他
・建築確認申請
地下室を建築する際には、建築確認申請が必要です。
建築基準法や消防法に基づいて、安全性などを審査されます。
・専門家の相談
地下室の建築は、専門知識が必要なため、建築士や消防設備士などの専門家に相談することをおすすめします。
■まとめ
地下室は、地上とは異なる独特な空間を持ち、様々な可能性を秘めた空間です。防音室、趣味の部屋、ホームシアター、ゲストルーム、収納スペースなど、用途に合わせて多様な活用が可能です。しかし、建築コストや土地条件、湿気対策、採光・通気、法令遵守など、考慮すべき点も多く存在します。
地下室は、夢を叶える特別な空間です。これらの秘訣を参考に、デメリットもしっかり理解した上で、計画段階で入念な検討を行いましょう。